77歳、喜寿のリアル

勢古 浩爾『77歳、喜寿のリアル: やっぱり昔は良かった!?』を読みました。
この人の本はこれで四冊目かな?
私と似たようなケミストリなのか、共感する部分が多くてサラッと読めてしまいました。
軽妙なタッチの文章もいいと思います。

内容をメモしておきます。
まず彼は自分が生きているのは「昔の時代」だと言います。
昔というのはパソコンが普及する以前、スマホ以前の時代という意味で、最近昭和を懐かしむ風潮がありますが、それと通底している感覚です。
「今」を拒絶しているわけで、言われてみれば私も同じです。

本書のタイトルに「やっぱり昔は良かった!?」とある通り、そのころは「会社は和気藹々」だったし、歌も良かった、昔の人の書いた本も良かったと絶賛です。
歌と言っても彼のおすすめは歌謡曲中心なので、私とは波長が合いませんが、昔の唱歌や童謡などは本当にいい歌だと私も思います。
映画は現在の勝ちだそうですが、私はあまり詳しくないのでなんとも言えません。

会社が和気藹々だったというのは、最近の会社をあまり良く知らないのでそこまで違うかどうかはわかりませんが、今は若い人たちに煙たがられて行われなくなった社員旅行や忘年会なども考えようでは和気藹々でした。
私の入った会社では運動会までありました!

セクハラなども、立場を変えてみれば案外そうだったのかもしれません。
私が入社した頃の研究所長(後に副社長になられた)は、まず結婚して安定した生活基盤を作れと「指導」してくれましたが、今なら何を余計なことをと反発されたことでしょう。でも、彼は本心からそう思って部下に語りかけていたのだと、今になって思います。
まさに和気藹々です。

ハッと思ったのは、人間関係について彼が「昔はいじめがなかった」と書いていることでした。これは私の学校時代を通じてそうだったと思います。
もちろん悪口を言って囃したり、ガキ大将が暴力を振るったりすることはありましたが、今のような陰湿な組織的ないじめはなく、何かあっても最後は先生が登場して収まるものでした。子供たちも「先生に言いつけてやる!」というのが切り札でした。
今のようにLINEなどなかったしねぇ…

LINEといえば、彼の文明の産物に対する評価には厳しいものがあります。
良かったと思えるのは新幹線、原発、インターネット、Eメールくらいまでで、スマホの登場でどん詰まりに来た、というのです。
その後はドローンが出たり、段々おかしくなり始めているという指摘は本当にそうだと思います。
今騒いでいるAIなんかも、果たして文明の進歩として受け止めていいのか、極めて怪しい気がします。

著者の日常生活は、
 スマホを持たず、
 ニュースは見ず、
 血圧と塩分値(CRE)だけを気にし、
 移動は健康を兼ねて自転車
という具合だそうです。
テレビと距離を置く生活については、以前の著書でも繰り返し述べていましたが、「人生には笑いは必要だがお笑いは不要」というのは全く同感です。
私も、お笑い芸人が見たくなくて番組視聴を諦める口ですから。

しかし、本書の最後で「やっぱり今がいい」とありました。
日本ほどトイレが綺麗な国はないとか、穏やかで行儀作法がきちんとしているとか、上下関係や男女の関係など社会的関係も整っているという指摘です。
昔のようなタバコ吸い放題ではなくなり、セクハラも肩揉みも消え、社員旅行や酒の強要、お酌させる悪習慣も姿を消しました。
老人に限っても、昔より幸せではないが楽になったのは確かでしょう。

総じて、文明は進化しているのか退化しているのかわからないが、現時点がその限界にあるのでは、という著者の指摘には首肯したくなります。
その指摘が生活実感から来るのがいいと思いました。

最後に、本書とは関係ありませんが、著者の高市感について一言。
選挙後、「高市鬱」という言葉が流行しているそうです。
仕事にも家事にも身が入らず、ニュースを見るたびにため息が出て体調が悪くなる。何をしても気が滅入る。周囲に「いいよね高市さん」という人がいたりするともう最悪・・・。
これに対し、著者は日本のほとんどのテレビ局や新聞社が露骨に反高市の姿勢を隠さないことを指摘し、それを「ケチのつけ放題」と形容し、その背景には自分たちが嫌いな政策をやるな、といっているだけの権威主義者の姿しか見えないと考える。
これが高市鬱の病原菌。
かれらは、他人を見下し「トンデモ」と侮辱するという、品性の低い人間で
「形式的なきれいごとをいって、文句ばっかり垂れて、もう暗いのだ」

リベラルに対するこの指摘は当たっていると思います。

彼の理想と考えるメディアの行為としては、
国連から、米ロ中のならずもの国家が占めている常任理事国という制度はなくしたほうがいいと訴えるよう、政府に提言(戦前の国際連盟で、日本が唯一、人種差別撤廃法案を提議したように)
「1つの中国」という妄言を退け、世界が台湾を正当な国家として承認するように(現在、承認国は12か国)日本政府に求め、さらにG7で根回しをしたほうがいいのではないか、と提言
することである、など、なかなか核心を突いているように思います。
最後は
「わたしには、本気で日本と日本人のことを1番に考えているのは、高市早苗総理のように見えるのである」
とまで述べていますが、ここを読んだら「高市鬱」の患者さんは卒倒するかもね。

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