その世
その世という世界があることを知りました。
谷川俊太郎の詩の中の単語で、ブレイディみかことの往復書簡の中に出てくるそうです。
(ちなみにブレイディはアイルランド人の旦那さんの姓らしい)
その世とは、この世とあの世との間にある世界だそうで、静かだが自然の奏でる音に満ちている世界。人はそこに留まることはできず、ただ一瞬通り過ぎるだけだが、この世を忘れあの世に近づくのだそうです。
家のベランダで野鳥の鳴き声を耳にした時、散歩の途中で木々を吹き抜けていく風の声を聞いた時など、一瞬、純粋無垢な世界の存在に気づくことがありますが、あれがその世なのでしょうか。
気の合った友達が集まってBBQをしながらワイワイやる楽しい時がこの世なら、自分が心から愛し自分を心から慕ってくれた世界でただ一人の愛猫を想いながら一緒にかぐわしい5月の風を愉しむのがその世なのでしょうか。
詩の全文は以下の通りです。
この世とあの世のあわいに
その世はある
騒々しいこの世と違って
その世は静かだが
あの世の沈黙に
与していない
風音や波音
雨音や秘かな睦言
そして音楽が
この星の大気に恵まれて
耳を受胎し
その世を統べている
とどまることができない
その世のつかの間に
人はこの世を忘れ
知らないあの世を懐かしむ
この世の記憶が
木霊のようにかすかに残るそこで
ヒトは見ない触らない ただ
聴くだけ
・・・勢古浩爾のいう「自然元素」がちょっと近いかも。
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