猛暑の読書

猛暑というか酷暑というか、昨日今日と強烈な暑さと湿気にやられています。
去年はエルニーニャ、今年はラニーニャがどうたら、という記事を読んだので今年は少しは涼しいのかと勘違いしていましたが、何の何の。

去年もひどい暑さだったがどうしていたんだろうと思い、去年の今日(7/5)の日記をのぞいて笑ってしまいました。全く同じなんです。曰く、

弱り果てている、体がだるく暇さえあれば横になっていてまるで病人。ジムに行く気も出ないし、運動量も激減している。深呼吸や飲み物、体操など色々手を尽くしてみたが効果なし、云々。

この後、次の日記まで22日間も間が空いています。
原因として、暑さ以外に歯の不調(インプラントのやり直し)も挙げていますが、そういえば来週からいよいよやり直しの工事が始まる予定です。
ああ気が重い・・・。

そんな中、読書だけは続けています。
1.上野千鶴子『八ヶ岳南麓から』
フェミニストにして「おひとりさま」論者の彼女が、実は年齢差23歳の色川大吉(社会学者、故人)と北杜市のセカンドハウスで敷地内同棲していたと知り、その生活ぶりをのぞきたいと思ってこの新著を読みました。しかし内容は普通の別荘族の書きそうなありきたりなもので、色川氏との生活についてはあまり出てこずがっかりしました。
一つ気に入ったのは彼女が暴走族(笑)なことで、減速しないでカーブに突っ込むのが楽しいなどと嘯いておられるのはこの年齢(今年76)の女性にしては珍しい。その車遍歴は
  • スカイラインGT4(4WD)
  • ホンダC R-Xデルソル
  • トヨタハリアー(ハイブリッド)
  • BMW Z4
だそうです。

2.筒井康隆『老人の美学』
ハイデガーに感心したので、続いてこれを読んでみましたが、大いに失望しました。自分の小説に登場する老人を題材にしてあれこれ論じているのですが、読んだこともないし、どれも魅力的とは思えない人物ばかりなので、熱心に読む気になれません。それに、筒井はちょいワル老人を持ち上げているのですが、そのワルさ加減に疑問符がつきます。ボケたふりしてお店で万引きするのなんて、そりゃちょいワル老人じゃなくて窃盗犯でしょ。ちょいワルというのは、いい歳をしてナナハンをぶっ飛ばしたり、行きつけの飲み屋の女の子を人前で口説いて見せたり、そういう無害なワルだと思うのですが。
失望した読書でしたが、その中で印象に残った一節がありました。

昔、人前も構わず一緒に歩いているご亭主をのべつ怒鳴り飛ばしたり、嫌味を言ったり、がみがみと小言ばかり言い続けている老女を何度か、何人か見かけたから、昔はああいう婆さんが多かったのだろう。あれは一体何だったのか。
(中略)
老後になって夫婦関係が無惨な状態になる多くは、どちらかの裏切りであったろうと思う。これだけは夫婦ともに許しがたいものがあって、死ぬまで絶対に、忘れるということがない。小生が見た昔の老夫婦の仲の悪さはきっと、若い時や羽振りが良かったときの夫の浮気など当たり前で、妾宅を持つ人が多かった時代だったからではないか。

これ、実はご近所にそんな老カップルがいて、少し体の不自由な亭主は日中はどこかへヨタヨタと歩いて出かけ、夜まで帰らず、ご飯は食べさせてもらいはするものの奥様とは口も利かない間柄と噂されています。若い頃浮気でもしたのかなと思っていましたが、ああやっぱりそうかと妙に納得しました。
歳を取ったら夫婦仲良く、ではなくて、結婚したら夫婦仲良く、です。

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