落雷/認知症

昨夜は、目の前の公共住宅あたりに落雷したみたいで、強烈な稲光と轟音に度肝を抜かれました。光と音が同時に届くのは身構える暇がなく本当に脅威です。家の中だから安心していられますが、あれが山中だったらどんなに怖かっただろうと思います。

そういえば、昨日は湿度が異様に高く、病院の帰りに自宅まで歩いてみたのですが、歩き出して三分ほどして「これは無理だ」と思いました。文字通りサウナでした。
でも、人体実験だと思い直して家まで一キロを歩き通しましたが、その後しばらく気分が悪くて倒れてしまいました。



その病院での出来事です。
前回は超混み合っていて、診察まで二時間半も待たされたので、今日は午後の診療開始時刻よりかなり早く受付を済ませました。待っている間、冷房の効いた待合室でじっくり小説を読むつもりでした。
ところが私より少し遅れて老夫婦と付き添いの娘らしき人の三人組が隣に座ったのですが、そのジジイがどうやら重度の認知症らしく、散々な目に遭いました。

突然爺が大声を張り上げ、こう言いました。
「お願いしますね! お願いしますね!」
付き添いが小声で何か言うと、
「もう行くよ」「行こう」
と何度も繰り返します。
「よっしゃ」とか「家に帰るよ」とかも聞こえます。
どうやら自分がどこにいて何をしなくてはならないのかがわからないらしいのです。
何か言うとそれに対して付き添いから説明が与えられるのですが、ほんの一瞬黙っても、すぐ忘れてしまうらしく、また「お願いしますね!」が始まります。

測ってみたらほぼ15秒で記憶が消えるようで、再び同じ会話の繰り返しが始まります。
年寄りで声がでかいし、こちらは小説を読むどころではありません。
そのうちに奥さん(婆)の診察が別の科で始まったようなのですが、姿が見えなくなると大騒ぎし始めました。
どこに行ったのか、とか、どうしていなくなったのかとか騒いでいます。
時々自分の妻であると言う認識が危うくなるようで、「誰?」とか「あの人」などと言っています。

やがて自分の番が来て、付き添いと二人で診察室の中に消えていきましたが、こちらは割と短時間で終わって出てきました。
奥さんはまだ戻っておらず、再び大騒ぎが始まりました。
あまりにひどいので、付き添いが「車の中で待とうか」と提案し、玄関の方へ連れて行ったのでホッとしましたが、今度は「どうしてこっちに来たのか」「あの人がいない」などと言ってまた戻ってきました。
今度はこちらと玄関の往復が主体になってきました。

読書を邪魔されたから言う訳ではありませんが、こんな状態になったらもう生きている意味はないと感じました。
よく存在しているだけで意味があるなどと言う人がいますが、冷たい言い方かもしれませんが、それは違うと思います。もう存在する意味はない、とはっきりそう思います。
四六時中これでは、付き添っている人は頭がおかしくなることでしょう。
でも、生きている意味がなくても、本人は生きています。
多分、極度の不安の中で。

認知症は残酷な病と思います。

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