門倉多仁亜『ドイツ式 暮らしがシンプルになる習慣』

日本人の父親とドイツ人の母親の間に生まれたタニアさんは、料理評論家・生活評論家として有名だそうです。
私はこの「ドイツ式」というのに弱く、以前にもサンドラ・ヘフェリンさんという人の『ドイツ節約生活の楽しみ』という本を愛読していた記憶があります。
ドイツ=neatという認識です。

私が初めて海外の土地を踏んだのは70年代中頃で、それがドイツでした。
フランクフルトの空港で、巨大な犬に飛び掛かられたのが鮮烈な印象として残っています(心臓が飛び出るくらい驚きましたが、日本紳士として悠然と対応しました(笑))。
それはともかくとして、街中は文字通りneatで、整然と片付いていて、眺めるだけで美しかったです。
私の電柱嫌いは、この旅から生まれました。

もう一つのドイツ的なものは、合理性です。
日本的感性からするとドライと感じられますが、かなり徹底した合理的な哲学が日常生活の隅々に浸透しているように思います。生活がneatなのもこの心性によるものでしょう。

そんな彼らの生活は、結果として無駄なものを排除したシンプルなスタイルになっていて、シンプルライフに憧れる私の良いお手本です。
問題は、憧れるだけでなかなか取り入れることができていないことですが…(笑)。

タニアさんのこの本は、しかし、そんなドイツ的なものに対する期待を込めて読むと、肩透かしを食らうでしょう。肩肘はらず普通に落ち着いた生活をしている人とお見受けしました。
せっかく読んだので、簡単にメモっておきます。

  • TO DOリストを活用し、選択と集中に努めている
  • ONとOFFを意識し、自分の時間を必ず作る(日曜は家事なしデイ)
  • メールチェックは一日一回
  • 早起きはただの習慣(習慣にしてしまえ)
  • 朝のルーティンは大事
  • 郵便は郵便受けから持ってきたらすぐ分類する
 a. 不要なもの→すぐゴミ箱へ(通販カタログは「受取拒否」と書いてポストへ)
 b. ファイリングすべきもの→「To File」Boxへ→溜まったらファイリングする
 c. すぐ処理するものはそうする(読むべき手紙は机上へ、請求書は財布へ)
  • 新聞雑誌の切り抜きはしない
  • なんでも一冊のB6ノートに書く
  • 重要な番号は一冊にまとめておく(非常時はこれだけ持っていく)

なお、彼女の一人暮らしのお祖父さんの生活が紹介されていましたが、参考になります。彼の生活はこんな感じ:
  • 八時に起床し、窓を開け、ベッドメークをする
  • 九時に車でカフェに行き、コーヒーを飲みながら新聞を読む ←素敵と思いました!
  • 昼は近所の老人ホームで食事
  • 昼寝
  • 夕食は自炊
  • 月曜日は洗濯デイ

なお、このお祖父さんは物を出したらすぐしまうことと、帰宅したら大事なものを決まった場所に置くことが一人暮らしを快適なものにする秘訣だと言っているそうです。

以下は、この祖父がよく教えてくれた諺だそうです。
Lerne Ordnung, liebe sie. Sie erspart dir Zeit und Müh'.
(整理整頓を学び、好きになりなさい。時間と手間を省いてくれるから)

Was Hänschen nicht lernt, lernt Hans nimmermehr.
(ハンスちゃんが学習しなかったことは、ハンス青年は決して学習できない)
整理整頓能力は子供の頃からのしつけの結果だということ。整理下手は遺伝する(笑)。

Was man nicht im Kopf hat, muss man in den Beinen haben.
(頭に入っていないと、足でかせぐしかない)
整理整頓ができていない人はいつも探し物ばかりしている、という意味だそうです。

Wer nicht anfängt, wird nicht fertig.
(始めなければ終わりは来ない)
片付けを始めれば、いつか終わりが来るという意味。

Die Basis einer gesunden Ordnung ist ein großer Papierkorb.
(整理整頓の基本は大きなゴミ箱)
なるほど。実感と合っています。

タニアさんは、子供の頃からしょっちゅうこんな諺を教えられて育ったから、整理整頓ができるようになったと述懐していました。整理整頓は文化であり、家風でもあるということですね。



今日はかなり涼しかったので、三ヶ月ぶりに走りました。
ただし、800mくらいです。
気持ちよかった!

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