最近読んだ本や観た映画
映画『マリと子犬の物語』
新潟の中越地震で実際にあった話を元に映画にしたもの。テレビをつけたらたまたまやっていたのでそのまま視聴しました。実話の方は『山古志村のマリと三匹の子犬』として絵本になっていますが、映画は大分膨らませていて、映像もありこちらの方がより感動的です。飼い犬のマリが必死で倒壊した家屋から飼い主を救い出そうとするシーンや、自衛隊のヘリに載せることができず置いていかれるシーン、何もない廃墟で健気に三匹の子犬たちを育てるシーンなど、涙もろい私は正視できませんでした。動物と人間との交流はどこまでも深く美しいです。
『栂海新道を拓く 夢の縦走路にかけた青春』
電気化学の社員だった著者・小野健さんが、北アルプスから日本海親不知まで達する長大な登山道をわずかな仲間と一緒に開拓した物語。このルートは私も71歳の時踏破したことがありますが、とにかく長く、アップダウンが多くて疲れました。でも、日本海の水を口にしてそんなことは全て忘れるほど感動しました。あの道はこうして開かれたんだと思うと感慨深いものがあります。ただし小野健さんは全てをこの新道開拓に投げ込んでしまった人なので、家庭人としては失格。奥様はよく我慢されたことと思います。
『老いの深み』
作家の黒井千次によるエッセイ集。"90代の大台に踏み込んで見えてきた風景"と帯に書かれていたので、興味を引かれて買ったのですが駄作でした。とにかく内容が薄い。考察も深みも切れ味もゼロ。金返せ。佐藤愛子や瀬戸内寂聴など他の高齢作家に比べると、激しく見劣りがしますが、この締まらなさは普通の人の90代の姿なのだろうか、自分もうかうかしているとこのくらい知性が劣化するかもしれないと思えば、読んでよかったのかもしれませんが・・・。
『日本と西欧の五00年史』
先日亡くなられた西尾幹二さんの最後の著書。たまたま読み始めたところで、最晩年によくもこんな大著をものするものだと驚きました。この人の人生は研鑽の連続だったことだろうと思います。読了したらまたレポートします。彼について唯一残念なのは、ガリガリの男系男性天皇論者であることで、これだけは絶対に認められません。
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