ロシアのハッカー
今日のBSフジ・プライムニュースは、ウクライナ侵攻とサイバー攻撃の関連について専門家に話を聞くというもので、大変面白かったです。
色々グラフを使って説明していましたが、侵攻当日の前後やクリミア大橋爆破直後、それにウクライナの反転攻勢が囁かれている最近の三箇所に大きなサイバー攻撃のピークが見られたそうです。
専門家の話では、やっているのは主にロシアのハッカーで、彼らは普段はランサムウェア(身代金を取るやつ)などで金儲けをしている違法な連中ですが、FSBなどロシア政府の政治的な動きに合わせて敵対勢力を攻撃することで<お目こぼし>してもらっている存在なのだそうです。ワグネルみたいな連中です。
ロシアのハッカーで思い出すのは、昔、サンクトペテルブルグで電子マネーの講演会が開かれ、私が自社で開発していたある電子マネーのセキュリティーについてしゃべった時のことです。
この電子マネーは公開鍵暗号という非常に頑健な暗号技術を使ったもので、従来の電子マネーがどれか一枚のカードの暗号が破られる(解読されてしまう)と、発行されているすべてのカードが使えなくなるのに対し、どれか一枚が破られても他のカードには一切影響しないという特徴がありました。
その理由は、たとえて言えば、各カードごとに異なる言語で話をするような仕掛けになっているためで、あるカードが英語をしゃべっていることがバレたとしても、他のカードは日本語やフランス語などでしゃべているので影響ないという訳です。そして、カード会社、半導体メーカー、鍵管理センターなどのプレーヤーはそれぞれ秘密情報の一部しか扱わないので、たとえどこか一箇所に穴が空いたとしても大きな穴にはならないのです。
私は、多分得意になってこの方式は絶対安全だとでも言ったのでしょう。
休憩時間になり、参加者と共に講堂のロビーに出てくつろいでいる時、見知らぬロシア人が近づいてきて、突然「お前はロシアのハッカーのことを知らないな」と話しかけてきました。
「電子マネーのセキュリティについてはよく知らないが、ロシアのハッカーの実力は世界でもダントツだから、多分お前たちのセキュリティはいずれ破られるだろう」と挑戦的なことを言われました。その人はきちんとした身なりの紳士で、どこか威圧的な雰囲気を漂わせていたので、ひょっとしたら政府機関の人間だったかもしれません。(まだエリツィンの頃の話です)
そんなこともあり、「ロシアのハッカーは世界でもダントツ」というメッセージが私の頭に刷り込まれてしまいましたが、今日の番組ではハッカーのレベルはアメリカと中国がトップで、ロシアはかなり落ちるとされていました。
そうなんだ。
ロシアはハッキングの世界でも沈んでしまったんだ。
ちょっと懐かしく当時のことを思い出しました。
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