エクストリーム・トレーニングの本

もう一つは、常識では考えられない過激なトレーニングとその効用について述べた
 スコット・カーニー 「サバイバルボディー」白水社
です。

著者はジャーナリストですが、自分自身が飛び込んで体験することをモットーとして様々な危険な現場をレポートしている変わり種です。
先日紹介したヴィムホフメソッドを実際に体験し、一緒に裸でキリマンジャロに登ったことなどが写真と共に紹介されています。

一読して驚嘆し、また色々考えさせられました。
この本は非常に示唆に富んだ内容が満載の、からだ改造フリーク向けの本です。
そして興味深かったのは、もう一つのDHEAの本とオーバーラップすることが書かれていたことです。
それは、人間の遺伝子は石器時代のままであり、からだや心の不調の多くは(一時的に)石器時代に戻ることで治ると言う主張です。
石器時代に戻るとは、体を動かすこと、食を控えること、自然の中に身をおくことなどです。
その中で決定打となるのがサバイバル体験であり、氷水に浸かるなどのエクストリーム・トレーニングはその一つの方法ということになります。

例えば関節リウマチや全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、ベーチェット病などの自己免疫疾患は、彼らの考えでは現代の衛生的すぎる環境により体の外部にはもはや脅威がほとんどないので、力を持て余した免疫機構が暴走してその持てる力を自分の体に向けた結果だそうです。
だから、外から強い刺激を人為的に与えてやることで、サバイバル機能つまり正しい免疫機能にスイッチが入り、これらの疾病から解放されるのだそうです。

本書では、パーキンソン病や関節リウマチ、クローン病などに苦しんだ人がヴィムホフメソッドにより改善されたという事例を詳しく紹介しています。
重度の関節リウマチを克服した人の記述です。

毎日トレーニングをするようになって二ヶ月後、痛みは消え去った。数ヶ月後、プラム大だった人差し指は腫れが引いてブドウのような動かしやすい形になった。指を曲げて、ものを握ることができた。全身が生まれ変わったように感じられた。

この人は、ホフとともに裸でキリマンジャロにも登頂したそうで、人生の大半を障害者として過ごしてきた自分がホフに会ってから大きく変わり、アフリカの最高峰に上半身裸で登頂を果たすまでになったことが誇らしいと、語ってくれたそうです。
寒冷刺激だけでなく、登山という自然の中に身を置く行為も一種のサバイバル体験として眠っていた遺伝子のスイッチを入れてくれたのでしょう。

本書では、ヴィムホフメソッドの詳細が具体的に紹介されています。
コールドトレーニングはどうやるのか、呼吸法とは具体的にどんなものなのか、知りたいと思っていたことが全て書かれていて大変参考になりました。
同時に、これをやるのは(後期高齢者にとって)大変だと思わざるをえませんでした。
私は猿真似をするのではなく、彼らの思想のエッセンスを汲み取り、自分に合った形を探していこうと思っています。

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