アントニオ猪木の死

"燃える闘魂" アントニオ猪木さんが亡くなられました。
79歳と、あの頑健な肉体の持ち主にしては早い死でしたが、数日前に撮られた映像を見てショックを受けました。痩せ衰え、激しく老化したその姿から、先日見舞いに行ったパーキンソン病の身内とよく似た雰囲気を感じたからです。

彼は全身性アミロイドーシスという難病に冒されていたそうですが、調べてみたらパーキンソン病と同類の病気であることがわかりました。さらに、アルツハイマー病やレビー小体型認知症、慢性関節リウマチもこのグループに属すことがわかりました。
病名が違うので違う病気かと思っていましたが、少し遠ざかって眺めたら皆同じ病気なんだと知り、驚きました。

この病気の発症メカニズムは、何らかの原因でタンパク質の三次元構造が変化して繊維化し、異常タンパクとして蓄積することによります。タンパク質の様々な働きはその三次元構造に由来することは、三石理論を学んだ人には常識で、その構造がいびつになれば本来の正常な働きができなくなるのは自明です。
何らかの原因というのが何か、調べた範囲では明らかにされていませんでしたが、三石さんなら活性酸素だと言うことでしょう。

α-シヌクレインというタンパク質が変性を受けるとレビー小体と呼ばれる異常タンパクになり、それが大脳に蓄積するとレビー小体型認知症、脳幹に蓄積するとパーキンソン病になります。
この両者はレビー小体の蓄積する場所が違うだけで、本来的には同じ病気と言うことになります。現実にはレビー小体型認知症でも手足の震えが見られ、パーキンソン病でも認知機能の低下が起こる症状があり、両者を明確に見分けることは難しいそうです。

認知症(レビー小体型)とパーキンソン病が同類だとは知りませんでした!

なお、アルツハイマー病ではレビー小体ではなくアミロイドβというタンパク質が蓄積して発症すると言われていますが、現実の認知症にはレビー小体とアミロイドβの両方が含まれることもあるそうです。
厄介な病気です。

猪木さんの話に戻りますが、彼とモハメド・アリの異種格闘技戦(1976)については私の記憶の中では×でした。"猪木はアリのパンチを恐れて寝てばかりで、あれでは試合にならない"と思ったからです。
ところが昨日の追悼番組を見ていたら、あれはアリの側からプロレスの多くの技を禁止することが要請されていたため、ほとんど使える技がなかったためだと解説されていました。
そうだったんだ。
また、猪木の足蹴りはアリにかなりのダメージを与え、後年血栓症で苦しんだことが判明しているそうです。

さて、アリはパーキンソン病で亡くなり、アントニオ猪木も同類の全身性アミロイドーシスで亡くなりました。
私の妄想では、病気はその人の弱点を突いて発症しますが、彼らにおいては格闘技のダメージの蓄積がその呼び水となった可能性はないものでしょうか。


追記:これが最後のインタビューです。

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