緊迫の72時間
ウクライナ侵攻の最初の72時間の映像ドキュメント(NHK)。
映像で見ると全く鮮烈な印象を受けます。
記憶に残ったポイントだけメモしておきます。
1.侵攻当初はロシア軍の強さは圧倒的で、ベラルーシから攻め込まれてあっという間にキーウの近くまで到達していたので、誰が見ても陥落は間違いないと思ったでしょう。もちろん大統領府に居たゼレンスキー以下の100人も、同様だったと思います。
2.轟音で目覚めた市民が目にしたものは、空を埋め尽くす勢いで侵入してきたロシア軍のヘリコプター軍団と道路を突っ走る戦車部隊でした。この悪夢のような映像を見て、自分の国が攻め込まれるというのはこういうことかと私は身震いしました。そして、走っていた乗用車に戦車が突然突っ込んでペチャンコに潰した場面では、思わず声が出てしまいました。奴らは平気でこういうことをするんだ!
3.ウクライナ国内にはロシアと密通している裏切り者がかなり多数いたようで、彼らの情報で当初の電撃的な侵攻が実現した訳です。日本も、仮に似たような状況に置かれれば、国内にいる敵国の人間によっていいように撹乱されるでしょう。
4.すぐにも陥落すると誰もが思ったその場面で、しかし、ゼレンスキーはあの感動的な演説を行いました。かなりの確率で自分達は死ぬと思っていたはずです。しかし、欧米に逃げて亡命政権を作るという提案を退け、自分達はここから逃げないと宣言しました。まさに英雄誕生の瞬間です。そして、大統領ら国の中枢は健在であり、どこにも逃げずにキーウで徹底抗戦する意思であることを知った市民が次々と立ち上がって、ロシア兵に丸腰で詰め寄るシーンはすごい迫力でした。一人の人間がこれほどの力を発揮できるとは想像を遥かに超えていました。
5.欧米各国は今でこそウクライナに大規模な支援をしていますが、当初はロシアを刺激するからといかなる支援要請にもNOと答えていたそうです。そんなに冷たかったとは知りませんでしたが、彼らは皆、ウクライナはすぐにも負けると思っていたのです。それが変化したのは、ウクライナの市民が立ち上がった姿を見たためでした。おそらく、その姿を見た欧米各国の市民が政治家を動かしたのだろうと思います。日本人は、ここをよく理解し記憶しておかねばならないと思いました。自分の国を守るのは、政治家でもなければ軍隊でもなくて、一人一人の国民だということです。ブチャなどでのロシア軍の非道ぶりに対する怒りは、彼らの気持ちを完全にウクライナ支援に向けました。
6.スパイ出身のプーチンは、謀略と嘘と脅迫でのしあがってきたサイコパスです。あの顔を見ていると、異常者に特有の冷血を感じます。平気で嘘をつく人間は(日本でもどこでも)決して信用してはならず、異常者に自分や家族、祖国の運命を委ねてはならないと痛感しました。
7.こうして侵攻後72時間が過ぎ、危機を乗り切ったウクライナは反転攻勢に出る訳ですが、そのきっかけとなったのは、侵攻直前になって軍が武器の保管場所を密かに変更したため、ロシア軍にそれらを破壊されなかったことだそうです。ゼレンスキーをはじめ多くの関係者は侵攻はないだろうとたかを括っていたようですが、プロの軍人はそうではなかったわけで、こういう人たちが国を救ったことになります。どんな時にも油断は禁物。日本にも覚めた目であたりを見渡している人がどこかにいて欲しいものです。
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