「核抑止論」は間違っていた?
もう八月も下旬となりました。
あっという間です。
終戦記念日に、広島県知事や市長が(ウクライナ侵攻で)「核抑止論」は間違っていたことが明らかになったから、世界の指導者は真剣に核廃絶に取り組まなくてはならない、と言う趣旨の発言をしたと報道されました。
これを読んで、?と思いました。
核抑止論というのは、核を打てば相互破滅だから打てない、従って核兵器を持つことにより核戦争が避けられると言うパラドキシカルな主張のことだと思われます。
これがウクライナ侵攻により間違っていたことが明らかになった、というのはどんな理屈なのでしょう。
広島県知事は「ウクライナが核兵器を放棄したから侵略を受けているのではなく、ロシアが核兵器を持っているから侵略を止められないのだ」と述べているそうですが、これのどこが核抑止論の間違いを示していると言うのでしょう。
私の理解では、
- ウクライナは核兵器を放棄したからロシアにやりたい放題やられている
- ロシアは核兵器を持っているからやりたい放題やっている
のであり、このような事態を避けるには
- 核兵器を持つ
- 核兵器の傘(NATOなど)の下に入る
しかないように思えるのですが、違うでしょうか。
広島県知事や市長の言うように、そもそも核兵器があるからこうした事態になるのだ、と言い、だから核抑止論に頼るのを止めて核兵器を全廃するしかないと述べても、じゃあどうすればそれが実現できるのかその道筋を示してくれないと意味がないというか、ずるいと思います。
そして、その道筋なるものは存在しないと言うことは、フォン・ノイマンのゲームの理論という数学理論で証明されています:核兵器保有国(保有者)全員が一致してヨーイドンで一斉廃棄することが世界全体にとって一番良いとしても、万一抜け駆けを図り廃棄しないやつが出てきたら、その瞬間にそいつが世界の支配者になってしまうからです(囚人のジレンマ)。
核廃絶は、遠い理想というより実現不可能な理念にすぎないと思います。
コメント
世界が核兵器を廃絶するなんて御伽噺です。
これを言うと平和論者から睨まれます。
よくぞ述べてくれました。さすがむーさん!