付け火して

仕事に乗れず気分がフラフラしているときに、偶然頭の中に「付け火」と言う言葉が浮かびました。
何年か前、山口県の山間部で起きた大量殺人事件の犯人が詠んだ歌です。

 付け火して煙喜ぶ田舎者

この事件に対する私の認識は、中学を卒業してすぐ村を出て都会でガテンをやっていた男が中年になり舞い戻ってきて、新しい人生を始めようとしたが村人に受け入れられず、村八分状態になって絶望し起こした犯行・・・と言うもので、どちらかというと閉鎖的な村の陰湿な嫌がらせに原因があったと言うものでした。
何しろ、村の人口の三分の一以上を殺し、家々に火を放ったと言うのですから、当時は八つ墓村以来の衝撃的な事件として話題になりました。

たまたま今日、この歌を手がかりにネットで事件の情報をさらってみたところ、どうも私のその認識は偏っていたようで、やはり裁判で鑑定されたように、彼にはパーソナリティ障害(妄想性障害)があったようなのです。
もちろん、人口14人と言う限界集落の閉鎖的なコミュニティにも大きな原因はあったと思われますが、それだけではなく、この犯人のような激しい思い込みをしがちな異常性格の人物が村を引っ掻き回したことが根本原因だと感じました。
身長180cmの粗暴で性格がおかしな大男が、こんな小さな村に受け入れられるわけがないと思うのです。

私の住む小さなコミュニティにも、少し性格に問題がある人がいますが、たった一人でも周囲は振り回されて大変です。
そのような場合の「特効薬」は、可能な限りその人と距離を置き、決して深入りしないことだそうです。
山口県のこの村の人々は、残念ながらその知識がなく、わざと無視したり嫌がらせをするなど、いたずらに犯人を刺激してしまい最悪の事態を招いてしまったようです。
この人ちょっとおかしいなと思ったら、敬して近づかないに越したことはありません。

ところで、この村がどんなところか知りたいと思い、Googleのストリートビューで見ていたら、何と犯人の家を見つけてしまいました。
恐るべしストリートビュー!

彼が自分で建てたそうですが、思ったより立派な家で、駐車場には車が2台停めてあり、道路に面した窓には内側からあの「付け火して」と言う歌を書いた紙が貼り付けられたままでした。

この歌は、当初放火の実行宣言だと見られていましたが、どうもそうではなく、
 ありもしない噂を立ててそれが広がるのを喜んで見ている田舎者め
と言う意味なのだそうです。

死刑が確定して現在収監中の犯人ですが、なんともやり切れない気持ちになりました。

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