ロシア人の精神
ある人が「ロシアはバイキングの祖先なのだから、あのような残虐行為に走っても不思議ではない」というようなことを書いていました。
ロシアはバイキングの祖先なの?
バイキングはそんなに残虐なの?
そんなバイキングの末裔である北欧諸国がなぜあのように進歩的なの?
こうした疑問を解くべく、このところ我が家の「ロシア本」を読み漁っていました。
以下はそのいわば中間報告です。
1.ロシアはバイキングの祖先なの?
正確ではありません。原ロシア人は現在のバルト海からウクライナの平原に至る地域に居住していましたが、国家という形を取るのは9世紀の「キエフ・ルーシ」が最初であり、それまでは部族の集まりでしかありませんでした。その内紛を調停してもらうために、北欧からバイキングを王として招いたことがあり、その血が入ったのは事実ですが、バイキングはバイキングです。
2.バイキングはそんなに残虐なの?
マイクル・クライトンの『北人伝説』という小説に、その残虐性について詳しい記述があります。この作品は10世紀のイブン・ファドランという人(アッバス朝の特使)の旅行記に基づいて書かれたもので、かなり史実に忠実のようですが、当時の世界では民族同士がぶつかると家は焼かれ、男は皆殺し、女はレイプされ奴隷にされ、街は徹底的に破壊されるのが当たり前だったそうです。ロシア・コザックのシベリア開拓や、ヨーロッパ人の北米・中南米大陸開拓でも同様でした。
3.そんなバイキングの末裔である北欧諸国がなぜあのように進歩的なの?
欧州で商業が普遍的な価値観となり、文明化が進んで成熟した結果と思われます。これに対し、ロシアは農奴を使役するタイプの農業国で貿易国家ではなく、また異民族国家なので治安対策に暴力が用いられ続け、成熟が遅れています。
要約すればこんなところですが、長年ロシアを研究してきた司馬遼太郎さんの『ロシアについて』によれば、何と言ってもモンゴル高原から何度も攻め寄せてきた騎馬遊牧民の影響が大きかったそうです。
もともとカスピ海の南のイラン高原にいたスキタイという騎馬遊牧民に続き、その後継たるモンゴル系の匈奴、さらに4世紀になってヨーロッパに侵入したことで有名なフン族や、その後に登場した蠕蠕(ぜんぜん)またはアヴァール人、13世紀のチンギス汗・バトゥ汗と、次から次へと凶暴な蛮族に襲われた記憶がロシアの精神を蝕んだ、というのが彼の意見です。
例えばモンゴロイドのフン族などは、生まれると顔を切り刻まれて怪異な容貌にさせられ、それが一度着たらそのまま洗濯をしないため強烈な悪臭を放つ毛皮をまとって、剣と弓矢で手当たり次第に殺戮し、地に一物も残さず破壊し尽くしたのだそうです。
また、あのモスクワもバトゥ汗の攻撃で壊滅し、住民は全員虐殺されました。
騎馬遊牧民は人間としての同情心ゼロという連中なので、何度もこうした体験をしたロシア人の心の中心に「武力が全て」という認識が植え付けられたとしても不思議ではないというのです。
その結果、
- 外敵を異常に恐れる
- 外国に対し根深い猜疑心を抱く
- 潜在的な征服欲がすごい
- 小銃や大砲などの火器に対する異常な信仰を抱く
などのロシア人特有の精神が誕生した、と司馬さんは述べています。
ウクライナでロシア軍が幼稚園や病院などを多数「誤爆」しているのはなぜかと聞かれたある専門家が、あれは誤爆ではなく意図的に学校や病院を狙い撃ちしているのであって、その狙いは住民に強いショックを与えて厭戦気分を引き出し、早く降伏させるというロシア軍の戦略(常套手段)だ、と答えているのを聞いて吐き気に襲われましたが、「統治とは恐怖心を持たせることだ」というのがロシア人の考え方だと知り納得しました。
21世紀にこんな種族が大国として生き残っているのがおかしいのですが。(中国も似たようなものかもしれません。)
余談ですが、
クライトンの『北人伝説』では、ペルシア人が訪問したのはカスピ海の北方にあるロスガール王国で、その地は異形の生き物「ウェンドル」の侵入に悩まされていて、主人公は途中で出会ったヴァイキングと一緒に救援に駆けつけます。
このロスガール王国とは実際にはブルガル人(の住む地域)を指しています。ブルガル人は移動して現在のブルガリアに住み着きます。
また、ロシア人(スラブ人)は当時ヴェンデンなどと呼ばれていて、ヴィーンやヴェネチアはそこに移動してきたスラブ人にちなんで名付けられました。
異形の生き物「ウェンドル」は明らかにヴェンデンと同じ名前のように見えますが、そうするとこの奇怪な種族はロシア人ということになります。
クライトンは、ロシア人は怪物のような種族だったと言いたかったのでしょうか。
コメント
有難うございます。
日本人は虐殺した歴史はないと思います。
南京虐殺は捏造ですから。
日本人にはそもそもエスニック・クレンジングの発想はありません。