権威主義国家?

最近、ロシアや中国、北朝鮮などの国家を指して「権威主義」国家と言うようになりました。
私はこの言い方はおかしいと思います。
国民を「権威」に従わせることで統治する方式を意味しているのでしょうが、そもそも権威と言う言葉遣いが間違っています。

私のこの単語に対する理解はその昔、この本を読んだときに深まりました。今でもここの解説が一番すっきりと落ち着きます。
 なだいなだ『権威と権力』(岩波新書)

それによると、権威は強制や命令なしに自分から進んで信じ従おうとする態度を生み出し、力によらないと従わせられないならそれは権威ではなく権力である、のだそうです(私の理解です)。そして、対等な人間関係にある相手に言うことを聞かせようとすると力に頼るしかないけれど、親子などの依存関係にある場合には依存する側が相手に対し権威を感じることで自然に言うことをきく、とも書かれていたと思います。

国民がプーチンや習近平、金正恩などのファシストを自分の親のように慕い従属する幼稚な精神の持ち主ばかりなら、あれらの国家を権威主義国家と呼んでもいいでしょうが、実際には国民を支配するための暴力装置をフル稼働させ情報統制をしてやっと維持しているわけですから、あれらはどう見ても「権力主義国家」です。
より的確な表現としては「強権国家」「独裁国家」などがふさわしいでしょう。
権威は強制力を伴わないでも生じる力なので、権力より良いものだと思います。権威主義国家という言い方はやめてほしいものです。

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