For whom the bell tolls
初めにちょっと脱線しますが、このスクリーンショットをご覧ください。
一昨日、私がアレと思って撮ったものです。
この記事が出たのは、タイトルの下にあるように3月16日ですが、なんと、翌17日に開かれたお茶大付属中の卒業式に悠仁さまが出席された、という内容です。
事前に写真とインタビューの動画を編集・用意し、さも当日に実写したかのように流すいつものやり口が、図らずも日付の表示でバレてしまったわけです。
ちなみに事前録画なので今回の地震のような突発事故には対応できず、愛子さまが冒頭で地震について即興的に触れたのに対し、こちらは全くでした。
いい加減国民を愚弄するのはやめていただきたいものです。
さて本題です。
先日ですが、ポーランド、チェコ、スロベニアの国のトップ三人がロシア軍に攻撃されている最中のキエフに集まって協議したというニュースがありました。
一つ間違えれば命を失うばかりかNATOを巻き込んだ戦争になるところで、彼らの勇気に鳥肌が立つ思いをしました。
当初は一瞬で片が付くと言われていたウクライナ侵攻がこう着状態になっているのは、ひとえにウクライナ軍とそれを支援するウクライナ人民の高い戦闘意欲であり、その先頭に立って「自分はここキエフにとどまり、ロシア軍を撃退する」とSNSで述べたゼレンスキー大統領の勇気であると言われています。
本当にゼレンスキー大統領は
漢(おとこ)
だと思います。
ところがこういうウクライナに対して口汚く罵る人や、罵るところまでは行かずとも頭から否定する日本人が結構いるようなのです。
代表例として橋下徹弁護士を取り上げると、彼は以下のような趣旨のツイートを連発しています。
- ウクライナ人は国外へ逃げろ(=つまり、国土をロシアに明け渡せ)。あと10年、20年、頑張り、もう一回そこからウクライナを立て直せばいいじゃないか
- NATOや西側諸国の政治家が、軍事介入を避けながらも本当にウクライナを支援する覚悟があるなら、皆キエフで暫く生活すべきだ
- 中国に最初から制裁をちらつかせるなんて、学級委員政治の典型
- 中国をこっちに引き寄せるには、お願いかお土産が先やろ。制裁をちらつかせるのは最後の手段
もちろんこれらの幼稚な発言は現在炎上中なわけですが、自国が侵略されるということの意味が肌感覚として理解できていないと言わざるをえません。
それにしても、テレビではいつも偉そうに構えて上から目線で断定的意見を繰り返すこの弁護士の正体がはっきりわかった一幕でした。
自分の命が他の何よりも一番大事なのですか、橋下さん?
これは『雪中の奇跡』というフィンランドがソ連の侵攻に立ち向かって戦った「冬戦争」のことを書いた本です。
孤立無援の小国フィンランドは激しく抵抗し、一時ソ連軍を大敗させますが、次第に劣勢となり領土の一部を割譲する条件で講和を結びました。その後、ナチスドイツと組んだりして波乱の時を過ごすのですが、最終的に東欧諸国のような共産化と属国化は免れました。
彼らの抵抗のためです。
エピローグにはこうあります。
(国際社会に期待しすぎるのは間違いで、頼りになるのは自分だけということです。)
フィンランドの起こしたこの奇跡は世界中の人々を驚かせ、やがてそれは大きな賞賛に変わっていった。人々は言葉を尽くしてその勇戦を褒め称えたが、フィンランドが生き抜くためにそれらの国から与えられた援助は全て、遅すぎるか、少な過ぎるかであった。
雨あられと寄せられた賞賛の言葉は、たった一人のフィンランド兵をもその死から救わなかった。
また、日本は無条件降伏したと言われていますが、実際には「国体」を残すという条件付きでの降伏で、それというのも米軍が本土に近づき硫黄島や沖縄での激戦で米兵の死者がうなぎのぼりになったため、本土決戦に持ち込まれたら大変だという認識が芽生えてきたからだそうです。
国の存亡をかけた戦いで死ぬのは、橋下徹が考えるような犬死ではないのです。
今回の「侵攻」は何かの前触れなのかもしれません。
私は各国からウクライナに義勇兵が集まって来ていると聞いて、スペイン内戦を思い出しました。
あの時、スペインではフランコ将軍率いるファシストと、それに抵抗する人民戦線とが激しくぶつかり合い、人民戦線側に欧米から多くの義勇兵が参加しました。
しかし、スターリンの介入で人民戦線側に混乱が生じ、最後は食料も武器もなくなり殲滅されてしまいます(1939)。
この時の様子は義勇兵として参加したヘミングウェイの傑作『誰がために鐘は鳴る』で活写されていますが、その後ナチスドイツとムッソリーニのイタリアとが手を結んで第二次世界大戦が始まったことを考えると、その火種の一つになったことは明らかです。
勇気と臆病、献身と裏切り、決断と躊躇・・・多くの心のドラマが展開されたわけですが、それは今回のウクライナ侵攻においても同様です。
たとえ自国を侵略されるがままにして自分一人が亡命しても、侵略者の銃弾に倒れるのは同胞であり、ジョン・ダンの詠うように、その弔鐘はあなたのためにも鳴っているのです。
コメント
櫻井よしこ氏にぴしゃりとやられてましたが、応えてませんね。
ウクライナ問題で評論家が次々でてきますが、軍事評論家の小泉悠氏の意見を聞いてます。
ご教示有難うございました。