絶望の教育
あるサイトがZ世代を対象に行った調査「将来役に立たないと思う教科TOP10」の結果なるものが出ていました。
一読して唖然とし、言葉も出ませんでした。
「将来役に立たない教科トップ」はこんな順位だったそうです。
- 音楽
- 図画工作
- 理科
- 社会
・・・・・・
これを紹介している某大学教授は「役に立てることができない、つまりイノベーション能力ゼロを、自身でマニフェストしているような結果」「日本の若年層の知的脆弱化はここまで進んでしまったという、廃墟のような状態」だと評していました。
こんな科目は要らないという理由の詳細です。
ワースト1「音楽」:音楽なんて聴いてればいい。歌う時は楽しく歌えればいいよね~ワースト2「図画工作」:普段生活していく中で『特にものを作らない』からワースト3「理科」:元素とか電流とか絶対に使わないしワースト4「社会」:昔のこと知っても意味ないワースト5「美術」:絵がヘタでもいい気がするワースト6「保健体育」:インドアには要らない、充実してない性教育受けて何になるんだよワースト7「総合学習」:係を決めたりするだけワースト8「道徳」:全部きれいごとを言っているように感じてしまうワースト9「英語」:翻訳機能あるし大丈夫くないですか? 外国行く気がしない最低必要限でいいと思うワースト10「国語」:『古文』とかいらない
思考力の麻痺は面会謝絶レベルだと書かれていましたが、まさにその通りですね。
日本の教育は破滅の危機に瀕している、と言われていますが、これを読んだら本当にそうだと思います。
一体どうしたら良いのでしょう。
それで思い出しましたが、瀬島龍三の『幾山河』という自伝を読むと、彼は何度も繰り返し自分の受けた教育は良かったと述べています。戦前のことですから、当時のエリート教育である軍の幼年学校から士官学校を経て陸大までを経験したことを戦後の私たちが正しく評価できるかどうか疑問が残りますが、決して戦後言われたような軍国主義一色に染まった教育ではなく、人間教育や合理的思考の訓練など人として生きる基本をきちんと叩き込まれていたのは確かのようです。
そういえば、中野学校で小野田少尉の受けた教育も柔軟かつ大変筋の通ったもので、妙な精神主義のかけらもない超合理的な思想の教育という印象でした(『小野田寛郎の終わらない戦い』による)。
和敬塾の西寮の寮監さん(村上春樹が『ノルウェーの森』で活写してくれました)も中野学校出で、当時の私たちはスパイ学校出身の怖い人だと思い込んでいましたが、今思い出すと有能で軍国主義的色彩はゼロの基本は優しい人でした。
戦後教育がここまで落ちてしまった今、多くの優秀な人間を生み出した戦前の教育の見直しも含め、もう一度ゼロから作り直すくらいの覚悟を持って「教育改革」に取り組まなければならないと思います。
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