「西式」健康法
今日は心地よい目覚めで始まった一日でした。
もしやと思い、ガーミンの睡眠グラフをチェックしたら、案の定、昨夜はとても良いパターンでした。
昨夜の睡眠グラフ |
西勝造さん(1884-1959)は、医者ではなく土木工学のエンジニア(コロンビア大)でしたが、独自の健康法を世に広め、それは「西式健康法」「西医学」と呼ばれて多くの熱心な信奉者に実践されました。
私は1974年発行の『無病長生健康法』という本を持っていますが、西さん自身は75歳で亡くなりましたから長生きというほどではなく、タイトルはいささか説得力を欠くきらいがあります。
この本は最初に、寝床は硬い板にしろ、寝巻きは薄くてお腹をはだけること、寝床に横になったら体をブルブル震えさせる「金魚運動」をせよ、などと信者にならなければとてもできないようなことが書かれており、「西さん=変な人」と分類して読まずにそのままにしていました。
ところがある日、免疫力を高めるには皮膚を鍛えるのが一番であり、その理論は西式健康法の中心を成しているグローミューによって実証されている云々という文章に接し、あらためて読み返してみたところ彼の主張は「病気を治す」ことではなく、「健康力を高める」ことにあり、未だ凌駕されていない高みにあると思うようになりました。
私は健康を支える要素は「体のコンディションを整えること」「運動を欠かさないこと」「必要十分な栄養を摂取すること」であると考えていますが、西さんはこんなふうに表現しています。
われわれの健康は皮膚、栄養、四肢、精神の四大条件によって保たれる
そして、これらの条件はわれわれの意思によっていかようにもできると述べています。
- 皮膚:厚着or薄着、温浴or水浴or乾布摩擦
- 栄養:美食or粗食、大食or少食or断食
- 四肢:歩くor走るor車
- 精神:言論の自由、信仰の自由
そして、これらは全て関係し合っているとして、こんな図を掲載しています。
西式健康の条件 |
初め、ここに皮膚が特別に取り上げられているのが不思議でしたが、口から喉、胃、腸。肛門と続く消化器は、生命誕生時、卵がある程度細胞分裂すると一部が凹み始め(原口陥入)、それが次第に胚の内部に進んでいって最後に肛門となって反対側に通じる過程を想起すると、確かに生物体と外界との境界として特別に重要であることがわかります。
免疫力は、生物体が外部と接する場所で最も必要とされますが、そこはまた全て皮膚でもあるのです。
西さんは、別の箇所で四肢が先で胴体は四肢を支えるために存在していると述べています。
動物はまず動かなくては死んでしまうので、動くための四肢が最重要であるという理屈だと思いますが、なかなかこんなふうに言い切れるものではありません。
感心しました。
四肢が動かなくなっても人間は生きていられるので、現代人は四肢の重要性を忘れてしまっているのかもしれませんが、それは単に医療の力で生かされているに過ぎず、本当は死んでいてもおかしくないのです。
その他、皮膚は呼吸器官としても機能しているし、体の内部の状態を表す鏡でもあると述べていますが、同じことは三石さんも言っていて、「皮膚にイボやシミがたくさんできるようになったなら、体の内部にもリポフスチンのような異常蛋白が溜まりつつあると思うべきである」という趣旨のことを述べています。シミが増えれば脳のアミロイドβも増えていて、やがて認知症になるであろうという意味で、皮膚は内臓を移す鏡なのでしょう。
ともかく、皮膚を特別に取り出してその重要性を力説して見せたのが「西式健康法」だと言えます。裸療法や温冷浴、ビタミン摂取が生野菜食と並んで健康力を高める手段として推薦されているこの健康法は、体質を改善し免疫力を高めたい人は一読すべきと思います。
残念なのは、多くの書籍が絶版となり、今では手に入りにくいということです。
図書館で探して読むのも一案かもしれません。
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