アフガン撤退

 ジムに行ったら、今日は夏季休業中とありました。

そういえばお盆は夏休みだと知っていましたが、その期間はTJAR観戦しているはずだったので、自分の中ではお盆はとっくに終わっていることになっていたのです。
せっかく頑張って行ったのに残念!

そこで浮いた時間を利用して、分厚い『NAM』の中のサイゴン陥落のあたりを読みました。タリバンがアフガンを掌握したというニュースが入りましたが、その最後の有り様があまりにサイゴン陥落を彷彿とさせるので、比較のために読み返したものです。





この本にはベトナム戦争に関するあらゆる情報が詰まっていて、全部読み通せば大きなものが得られると思うのですが、一日ぶっ通しで読み耽っても半月はかかる分量があるので残念ながらいつもつまみ食いしかしていません。

いやー、本当によく似ていますね。
均衡が崩れると、一気に、雪崩を打って事態はカタストローフに向かいます。そして、老いも若きも、男も女も、学問のあるなしも一切関係なく、運命の坩堝に投げ込まれて切り刻まれ、朽ち果てていきます。

  • 米軍が撤退すると分かった途端に物価が跳ね上がった
  • 商店に殺到し買い溜めに走った
  • もうじき使えなくなるお金をばら撒いていた
  • サイゴンは流言飛語の街となった
  • 脱出プランを求めて駆け引きが行われ、詐欺が横行した
  • 人々は空港に殺到し、その列が砲撃されて死体の山が築かれたが、そのまま放置された
  • アメリカが暗号放送で自国民に撤退を告げた時、それを解読した市民がアメリカ人の集合場所に押し寄せ大混乱となった
  • 降伏したことが放送されると、人々は略奪に走った
  • 車からガソリンが抜き取られて路上で売られていた
  • 侵攻してくる共産軍に睨まれないよう、金持ちは貧しく見えるように自転車を買った

等々。

そして、最後は脱出用の飛行機やヘリコプターに市民が群がって動けなくなりました。アフガンとそっくりです。

このような混乱を招いた一因は、指導部(ニクソン大統領、キッシンジャー補佐官、マーチン駐ベトナム大使)が危機管理に失敗し、いたずらに時期を後のばししたり、撤退を整然と行うに必要な軍隊の派遣を嫌ったりしたことが指摘されています。

素人考えですが、アフガンでも押さえとなっていた米軍を何月何日に引き揚げると言えば、タリバンが勢いづくのは当然ですし、残される政府軍側はパニック状態になるでしょう。それがカタストローフへの行進を早めたのは間違いないと思います。
任務完了まで極秘に進めることができていれば、ここまでの混乱は避けられたのではないかと思うのですが、米国内向けに良い顔をしようと撤退することを早々と宣言したかったのでしょうね。

残された米軍への協力者たちの運命が気になります。
多分、過酷なものになるでしょう。(ベトナムでは米軍が始末し損ねた協力者名簿が北の手に渡り、多くが逮捕処刑されたそうです。)
そして、女性の将来も厳しいものとなるのは間違いないと思います。

国が崩壊するということがどんなことなのか、私はこういう記録を学校で必修科目として学ばせてはどうかと思います。
私の時代はまだそこまでいかないでしょうが、子や孫の時代に日本がどうなっているか、心配でなりません。

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