池畔の出来事
明け方激しく咳き込む一幕もありましたが、風邪はなんとか引かずに済みそうです。
でも今日は用心して、暖かくして過ごしました。
最近、昔の出来事が突然鮮明によみがえることがあり、しかもその出来事の意味というか解釈が従来とは別物になっていて驚くことがしばしばあります。いよいよ死期が迫っているということなのかと不安に思うときもありますが、晩年に至り無意識に自分の人生を総点検しているようにも思います。
昨日想起したのはこんな場面でした。
中学時代のことです。
市内の公園にH池という池があり、時々好きな女子を誘ってボートに乗ることがありました。もちろん清純異性交遊です(笑)。
ある日、私は小学生の頃からよく一緒に遊んでいたSちゃんとTちゃんという女子を誘ってボート乗りをしていました。
Sちゃんは市内でも評判の美人三姉妹の真ん中で、お姉さんが私の姉の親友だったこともあり、よく我が家に出入りしていたのです。
Tちゃんは酒屋の娘で、これまたクラスで一二を争うふっくらと可愛い子で、成績も良くいつも一緒に遊んでいました。
この時一緒に出かけた男子はK君という大柄な子で、健康優良児であり、のちに警察官になりましたが、小柄な私から見ると無双のガキ大将でした。
K君もカノジョを連れてきていました。
ボートで池の真ん中に漕ぎ出したその時、池の反対側でK君の大声が聞こえました。
「早く来てくれ!」と言っているらしく、見たら彼らのボートは岸辺に着いていて、そこに大人の男性がいました。
とっさに何かまずいことが起きているとわかりましたが、私は先にボート乗り場に漕いでいって自分のカノジョを降ろし、それからK君のところへ向かいました。
私が着いた時にはその大人の人はすでにいませんでしたが、私はK君から「どうしてすぐ来なかったのか」と激しく非難されました。
以来、私と彼との関係は気まずくなり、友情は消えて無くなりました。
当時、私は自分のカノジョの身の安全を第一に考えましたが、それはK君のようなガタイの大きな子なら大人の一人や二人平気でやっつけることが出来ると思っていたからでもあります。
それに、そんなに遅れたわけでもありません。
だから、彼があのように「ぐずぐずしていた」私に激怒した理由がよくわかりませんでした。
それが昨夜突然、わかったような気がしました。
要するに、K君は怖かったのです。
大きいと言っても中学生です。
相手が大人であり、しかもボートには自分のカノジョを乗せていますから、何かあったらと気が気ではなかったのでしょう。
たとえヘナチョコな私でも、一人でも多く加勢に来てほしかったのだと思い当たりました。
そういえばその時の彼の顔は引きつっていました。
あれから60年!
こんなことにも気づかなかった私の鈍感さを、人生の終盤で神様はようやく教えてくださったのかもしれません。お前は自分で思っているよりずっとずっと鈍く、人の気持ちがわからない人間だったのだぞ、と・・・。
さあ、カモミール・ティーでも飲んで心を鎮めようか。
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