ラテン語と日本語
昨日の続きです。
「びっくりするほど日本語とラテン語の間には類似点が多い」と書きましたが、それはこういうことです。
1.語順が同じ
日本語は主語S-目的語O-動詞Vの順ですが、英語をはじめとする西洋諸語は主語S-動詞V-目的語Oの順で、これが日本人が外国語下手である大きな原因の一つになっています。しかし驚くことにラテン語は日本語と同じ語順なのです。
例を示します。
Ignis aurum probat. (セネカの箴言より)
Ignis 火
aurum 黄金を
probat 証明する、試す
訳 火は黄金を試す。
意味 火つまり災難は、黄金つまり勇気を試す機会である。
2.語尾を変化させる
英語などでは単語の前に前置詞を置いて様々な用途に対応させますが、ラテン語は語尾を変化させて対応します。日本語も語尾変化ではありませんが語の後ろに助詞を置いて対応するので、とても似ています。
ラテン語 日本語
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consul 執政官
consul-em 執政官を
consul-is 執政官の
consul-i 執政官に
consul-e 執政官から
日本語では語尾変化の代わりに助詞(を、の、に、から)を付けます。
英語では単語の前に前置詞(of、for、to、fromなど)を置きますから、翻訳するときに一呼吸必要となります。
3.発音が同じ
まさにローマ字と同じで、母音もa/e/i/o/uの五つだし、英語などにある特殊な発音もありません。
上のキケロの文は次のように発音します。
イグニス アウルム プロバト
4.不定冠詞や定冠詞がない
日本人が苦手な英語の "a" や "the" のような冠詞類はなく、その点では作文も楽です。
どうですか。意外に思われたのではないでしょうか。
欧米人が学校でラテン語の学習に難儀したという話をよく耳にしますが、案外日本人が外国語を学ぶときと似たような苦労をしているのではないかと思ったりします。
ラテン語は、その後フランス語やイタリア語、スペイン語などのいわゆる「ロマンス諸語」と言われる言語に引き継がれて行きますが、どういうわけか発音は複雑化し(私は田舎臭くなったと思っています)、語順も変化するなど、大きく変貌していきます。
しかし与謝野説では、ラテン語はある種の音韻変化を受けるものの、ほぼそのまま日本語(大和言葉)に取り入れられていったとされています。
具体例を見てみましょう。
まず私が即興で落語もどきの文章を作ってみました。
-ご隠居、毎日暑いですね。ところで笹本恒子さんが亡くなられましたね。おう、亀さんか。ところで笹本恒子さんて、誰じゃったかのう。-ほら、100歳超えても現役で有名な写真家さんですよ。あと二週間で108歳だったそうですよ。ああ、あの人ね。素晴らしい人じゃのう。わしらからすれば、ただ仰ぎ見るばかりじゃ。-ご隠居も老いぼれてばかりじゃなくて、何かこうあっぱれな働きでも一つどうですか。例えばどんな?-笹本さんは肉とワインが大好きで、いまわの際にワインをひと舐めされたそうですぜ。お酒の好きなご隠居なら、ひと舐めと言わず一瓶くらい空けたら有名になれるかも。そんなことした日にゃ、あっという間におさらばじゃよ。危ない危ない。-だからいまわの際でっせ。ところで、岸田さんがコロナになったそうですね。あの馬鹿野郎、こちとら医療も逼迫して入院もできないちゅうのに、夏休みだといって、マスクもせずにゴルフだ伊豆旅行だと遊び呆けた挙句に感染するなんて、はらわたが煮え繰り返る思いじゃよ。-あっしも怒りを通り越して反吐が出る思いですぜ。統一教会の問題でもでたらめ、インチキのオンパレードだし、ここらで一度神様に身勝手な連中を懲らしめてもらいたいもんですね。でも、日本人は忘れやすい民族だから、連中も今はじっと黙って耐え、そのうち下火になって事態が鎮まるのを待つ戦法じゃないかのお。いちいち反応するよりその方が楽だからなあ。-いっそのこと、今の屁みたいな政治家も総理大臣もさよならしてもらって、これからはジャンケンポンで決めたほうがいいかも知れませんぜ。そうしたら亀さんが首相になったりして、余計面倒なことになりそうだな。ノロノロしてたら物事はまとまらんからのお。怖い怖い。
さあ、この文章の中にどれくらいラテン語が入っているか、赤字で示してみます。
-ご隠居、毎日暑いですね。ところで笹本恒子さんが亡くなられましたね。おう、亀さんか。ところで笹本恒子さんて、誰じゃったかのう。-ほら、100歳超えても現役で有名な写真家さんですよ。あと二週間で108歳だったそうですよ。ああ、あの人ね。素晴らしい人じゃのう。わしらからすれば、ただ仰ぎ見るばかりじゃ。-ご隠居も老いぼれてばかりじゃなくて、何かこうあっぱれな働きでも一つどうですか。例えばどんな?-笹本さんは肉とワインが大好きで、いまわの際にワインをひと舐めされたそうですぜ。お酒の好きなご隠居なら、ひと舐めと言わず一瓶くらい空けたら有名になれるかも。そんなことした日にゃ、あっという間におさらばじゃよ。危ない危ない。-だからいまわの際でっせ。ところで、岸田さんがコロナになったそうですね。あの馬鹿野郎、こちとら医療も逼迫して入院もできないちゅうのに、夏休みだといって、マスクもせずにゴルフだ伊豆旅行だと遊び呆けた挙句に感染するなんて、はらわたが煮え繰り返る思いじゃよ。-あっしも怒りを通り越して反吐が出る思いですぜ。統一教会の問題でもでたらめ、インチキのオンパレードだし、ここらで一度神様に身勝手な連中を懲らしめてもらいたいもんですね。でも、日本人は忘れやすい民族だから、連中も今はじっと黙って耐え、そのうち下火になって事態が鎮まるのを待つ戦法じゃないかのお。いちいち反応するよりその方が楽だからなあ。-いっそのこと、今の屁みたいな政治家も総理大臣もさよならしてもらって、これからはジャンケンポンで決めたほうがいいかも知れませんぜ。そうしたら亀さんが首相になったりして、余計面倒なことになりそうだな。ノロノロしてたら物事はまとまらんからのお。怖い怖い。
どうでしたか。
思った以上に多かったのではないでしょうか。
普通、外国語が混入してくる場合、それらは「外来語」として一部にとどまるはずです。
現日本語の場合、それらの多くはカタカナで表記され、珍しい海外の事物を指すことが大半です。
つまり、文化の伝播の範囲です。
ところが人の移動が伴う場合は、生活語として多数の単語にそれが反映されると思われます。
上の例を見ると、日本語へのラテン語の浸透は明らかに後者です。
結論として、私はこのように理解し納得しました。
- 縄文時代から日本と北ユーラシアとは深い繋がりがあった
- ヒトは太古の昔から太陽信仰をもち、当時から日本は「日出る国」として流浪の目的地と考えられてきた
- 南シベリアを通る草原のハイウエイを経由して、スキタイなどの騎馬民族が何波にも渡り日本(東北や北海道)に渡来していた
- ユダヤ民族(セム系の古代ユダヤ人)は移動の習慣があり、彼らも何度も日本に来ていた
- 景教を奉じる秦氏も有名なユダヤ系渡来人と言われている
- 紀元後のローマ時代、現トルコやイスラエル、パレスチナ、黒海周辺などに住むラテン語を話す部族が、これらの過去の実績の上に日本に渡来した
- 一部は朝鮮半島に新羅を建国し、そこからも日本に移入した
- 彼らはいずれも日本の支配層に入り込み、その言語習慣はそこから次第に広まっていった
それにしても、東の果て(極東)である日本に来た人々は皆、そこに腰を据え、落ち着き、争いを避けて平和に暮らすようになったのは、考えてみれば不思議です。
かつてアインシュタインが日本を絶賛していたという話がありますが、そう思わせる何かがこの地にはあるようです。
私たちは、日本という国の原点は何か、もう一度深く考えるべきだと思います。
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