enough is enough

今日は私の誕生日でした。めでたく(笑)74歳になりました。
行きつけの寿司屋から好みの寿司をテイクアウトし、家内と娘にささやかなお祝いをしてもらいました。

74歳というのは元気で当たり前の年齢です。私の母によると、これから80まではまだまだ元気で楽しく生きられるそうですが、80をすぎるとガクッと体力が衰え、次第に生きていても楽しくなくなるのだそうです。早い人はボチボチあの世に旅立っていくのもこの頃です。

手元にある出身会社の社友クラブによると、先期、クラブに長寿の祝いをしてもらった会員は

  • 白寿祝 4名
  • 米寿祝 126名
  • 喜寿祝 231名

となっていました。
会員数は年次によって異なりますから、これが正確に寿命の傾向を表しているわけではありませんが、大まかには喜寿を祝ってもらった人の半分しか米寿には届かず、100歳までにはほぼ全員が逝ってしまうようです。

私の好きな小説にロレンス・サンダーズの『魔性の殺人(The 1st Deadly Sin)』というのがあります。虚無的な登山家による連続殺人を扱った作品ですが、その中で一人の実直な勤め人ギルバートがこの殺人者によって命を奪われるシーンが印象に残っています。

バーナード・ギルバートは脳天を何かで一撃され、その場に倒れた。倒れていくのが自分でもわかった。歩道が激しく背中にあたるのを感じた時、せっかく見出した人生の新しい喜びはどうなっちまうんだろうと思うと同時に、"それでいいのだ、バーニー、もう十分に楽しんだろう"という神の声を聞いた。

最後の文言は原文ではこうです。

and heard God say, “Okay, Bernie, enough’s enough.”

enough is enough というのは「もうたくさんだ」「いい加減にしろ」という意味だと学校で習いましたが、それからすると神はバーニーに往生際が悪いぞというニュアンスを含めて「もういいだろう」と言ったのでしょう。

死に際してもっと生きていたいと思った時、覚えていれば、この台詞を思い出したいものです。




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