グローミュー

黒沢の映画「椿三十郎」で、心臓を1突きした剣が引き抜かれると血液がどっと1mほど前方に吹き出すシーンがあり、初公開時に話題になりました。
心臓のポンプ圧力の強さから計算すると、そのくらいになるのだそうです。
撮影では、衣服の下にホースを通して、そこから血液もどきを噴出させたとか。

実際、心臓から押し出された血液は、だんだん枝分かれした動脈に沿って流れ、最後は毛細血管になり、その先から体の細胞一つ一つに栄養と酸素を渡し、老廃物と炭酸ガスをもらって、今度は細い静脈の毛細血管に受け継がれ、段々太い静脈に合流して、心臓にまで戻ってきますが、この間わずかに45秒くらいだそうです。
猛烈な圧力がかかっていることがわかります。

毛細血管は最後はものすごく細くなり、赤血球がやっと通り抜けられるくらいまでになるそうですが、これが年をとると消えて無くなり、「ゴースト」と呼ばれる状態になってしまいます。そうすると、血の流れが末端まで行き届かなくなり、冷え性など種々の血管障害を引き起こします。
加齢以外にも、酒の飲み過ぎや糖尿病などが原因で毛細血管のゴースト化が起きますし、運動不足でもなります。

このような状態こそ、免疫抵抗力低下の最大原因で、疲れやすくすぐ風邪をひく人は、ほぼ間違いなく血行障害の持ち主です。

ところで、体表面が急に冷やされたりすると、皮膚表面の毛細血管が収縮し血流がストップしますが、止められた血液はそのままだと行き場を失って冷えてしまいます。
それを逃し、静脈にバイパスする構造が「グローミュー」です。こうすれば、血液が体表面で滞留し冷え込むことが無くなり、いつも温かい血が通うわけです。
それだけでなく、毛細血管以外にも通路があることになるので全体的に血流量が増え、新陳代謝が活発になります。



グローミューは皮膚だけでなく、体内の諸器官にも存在していることが確認されています。
私は、西式健康法の創始者である西勝造さんが著書の中で述べているのを読んで初めて知りました(当時は誰も信じていなかったらしい)。
そして、西さんによれば、毛細血管やグローミューの消失を防ぎ、再生させるには、血流を良くすることが大事だそうで、そのために「ゴキブリ体操」と「温冷浴」を勧めています。

興味のある方は検索してみてください。

私は風呂上りには欠かさず冷水浴をしていて、もう何十年にもなります。
アフタークリニック時代にこのことを日記に書いたら、介護士のikumiさんから「とんでもない、やめなさい!」と言われてしまいましたが、血管とグローミューを鍛えることが免疫抵抗力強化に絶対効くと信じているので、忠告は無視しました(笑)。
血行障害は万病のもとで、これを排除できればアルツハイマー病にもならないそうです。

誰かの言うように、「健全な毛細血管が健全な肉体を作る」です。


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