映画「ライフ」と「アンドロメダ病原体」
「ライフ」は2017年の作品で、火星で採取された地球外生命体の細胞を国際宇宙ステーションで極秘調査するが、最初はかわいいと見られていたこの生命体が次第に凶暴化し、乗組員が次々と殺されて行くと言うSFサスペンス。
ヒトデかクリオネのような形をしたこの小さな生き物は、一つの細胞が視覚や聴覚などの感覚を持ちながら脳細胞でもあると言う不思議な設計で、それが素早く成長し進化して行く様子は見ていて圧倒されます。
火星で生命体発見の知らせは地球でも大きな反響を呼び、一般から名前を募って「カルビン」と名付けられます。
カルビンくん。
カルキンくんではありません(笑)。
このカルビンくんに、調査担当の科学者が感情移入するなど、未知の存在にすぐ愛着を覚えるところなど、いかにもあるあるですが、後半は「エイリアン」を凌ぐモンスターに化けて大暴れ!
最後はまさにブラックエンドで、これはないだろうと思わず悪態を吐きそうになりました。(これは褒め言葉です。)
「アンドロメダ病原体」は1971年のアメリカ映画で、マイクル・クライトンの小説を基に作られています。この小説は彼の比較的初期の作品ですが、型破りのテクノスリラーであり、一躍彼を有名作家に押し上げました。私の本棚にも、一冊あります。
宇宙空間に浮遊する生命体を収集する目的で打ち上げられた人工衛星が、アリゾナのピードモントという町に落下しますが、回収に向かった部隊が目にしたのは町民が死に絶えた死の町でした。
例外は、アル中で胃潰瘍持ちの老人と泣き叫ぶ赤ん坊だけ。
この衛星が回収した病原体は結晶構造を持つ不思議な生命体で、地球上の生物の血液を凝固させて死に至らしめるという設定ですが、COVID-19との類似性に思わずギョッとしました。
様々な曲折を経て、最後は病原体の突然変異により危機を脱する事ができますが、今見てもよくできた力作だと思いました。
ハーバードの医学部出身の医学博士であるクライトンの原作が、きちんと論理的に構築されているのがその理由と思いますが、当時、世界の最先端を行っていたアメリカの底力のようなものを感じます。
これら二つの「エイリアンもの」は、どちらも微生物あるいは超小型生物として人間の前に現れます。昔の宇宙人ものは、H.G.ウェルズの火星人や「エイリアン」の怪物のような、大型で優れた科学技術や凶暴な捕食能力を持った存在として描かれてきましたが、やはり本命はこちらの方ではないかと思いました。
パンスペルミア説というのもありますし、生命は宇宙空間にも存在している可能性が高そうです。
今年の12月6日にははやぶさ2が地球に帰還しますが、防疫体勢はちゃんとできているのか、映画を見て少し気になりました。
コメント