吉尾弘さんを想う

心配していた太ももや腕、肩などの痛みは大したことはありませんでしたが、ふくらはぎが尋常でない痛みに襲われています。山登りではかかとの上げ下げが基本動作なので、痛むのは当たり前ですが、これだけ痛いのはコロナであまり動かしていなかったせいなのかもしれません。
木段を爪先でつかまえながら走り降りたのも原因しているかな・・・。

それで思い出しましたが、以前、登山家の吉尾弘さんと上高地から一緒にタクシーに乗ったことがありましたが、ふと見たらそのふくらはぎが異常なほど膨らんでいることに気づきました。
彼は半ズボン姿だったのではっきり分かったのですが、あのふくらはぎが岩登りの達人吉尾さんのパフォーマンスを生み出していることにその時思い至りました。
山登りはふくらはぎが支えているのです。

彼の著書を持っていますが、そこには直筆で私へのメッセージが書かれています。
曰く、僕のパートナーのK君の奥さんA子さんを立派に育ててくれてありがとう云々。
A子さんというのは昔の私の山仲間で、危険なことが好きな性格だったこともあり、せがまれてよく岩登りや冬山に一緒に行きました。涸沢にテントを張り、前穂の北尾根や北穂の東陵などを登ったものです。
その後、彼女は山好きが高じて本物の登山家K君と結婚し、吉尾さんと三人でやばいルートを登ったりしていましたが、怖気をふるった私は誘われてもあまり行きませんでした。
やがて吉尾さんは冬の谷川岳で単独で氷壁登攀中に墜死してしまいました。享年たしか63歳。

痛むふくらはぎを見つめながら、そんなことを思い出していました。


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